定款認証

A.定款(ていかん)は、株式会社の最も基本となるルール(会社の憲法)です。会社の名称や事業の目的、会社の本店所在地、株主総会の開催方法、取締役の人数、監査役の設置の有無、出資者(発起人)の氏名及び住所、出資金額、会計年度など会社の根本的なルールです。株式会社を設立する場合は、定款を定めて会社所在地を管轄する公証役場(同じ県内の公証役場ならばOK)で公証人の認証を受け、法務局に持参して登記手続を経て会社が設立されます。設立時の定款を原始定款といいます。定款がしっかりしていると、取引銀行からも信用されやすいという副次的なメリットもあります。

  株式会社の定款の作成とは、発起人が、上記のような記載事項を記載した書面(紙定款)を作成し又は電磁的記録に記録(電子定款)するものです。
  紙定款は、A4版の用紙を用いて片面(両面印刷は避ける。)に12ポイント程度で横書きで記載し、表紙、本文、裏表紙の順番で綴り、ステープラ(ホチキス)で綴じます。)。これに発起人が記名押印し、各ページに契印(割印)します(捨印があると、軽微な訂正がある場合に便利です。)。作成日付けは、必ず認証日以前にします(同日も可)。定款は、日本語を用います。ローマ字やアルファベットも日本語として通用する限り、その使用が許されます。
  電子定款も、Word文書などをPDF化することが多いと思われますので、基本は、紙定款と同様です。署名は電子署名になります。
  定款は、紙定款、電子定款を問わず、行政書士や司法書士など代理人が作成することもできます。その場合は、定款作成委任状(下書式例参照)を作成します。

  定款認証嘱託の委任状の書式例

       委任状
  私は、〇〇〇〇を代理人と定め、下記権限を委任する。
        記
  株式会社〇〇の設立に際し、(別紙のとおり※)その原始定款を作成する一切の件
    平成〇〇年〇月〇日
      住所 〇〇県〇〇市〇〇〇〇
      発起人  〇〇〇〇 ㊞(実印)
 ※(別紙)の原子定款写しの添付を要する公証役場と要しない公証役場があります。
    

A.認証とは、公の機関が、その行為が正当な手続でされたことを証明することです。定款認証の場合、その定款が発起人により正当に作成されていることを公の機関(法務大臣から任命された特別の公務員)である公証人が証明することです。発起人本人又はその代理人がその定款を作成したことが前提ですので、身分証明書(印鑑証明書、運転免許証など)が必須です。株式会社、一般社団法人、一般財団法人は、原子定款(最初に作成する定款)を公証人の認証を受けなければ設立することができません。
  このような認証が必要とされるのは、株式会社、一般社団法人、一般財団法人の社会的重要性に鑑み、その定款について作成権限と内容の明確さを確保し、不正行為や後日の紛争を防止するためです。
  定款の認証は、必ず会社の本店所在地を管轄する都道府県の公証役場で行う必要があります。例えば、東京都に本店所在地がある会社は千葉県では認証ができません。(これに対し、一般の私文書の認証は、例えば、埼玉県に居住していても勤務先の近い東京都で認証してもらうことができます。)
  

 

A.定款の認証には、①紙(書面)の定款を認証する方法と②インターネットを介して電磁的記録の定款(電子定款)を認証する方法とがあります。この2つの方法では認証までの流れが大きく異なります。①紙の定款は、比較的簡単に認証することができます。ただし、株式会社の定款認証には印紙代4万円が必要です(一般社団法人、一般財団法人の場合は印紙代が必要ありません。)。②電子定款は、印紙代4万円を貼付する場所がないため、その分を節約できますが、電子証明書を取得したり、パソコンに習熟する必要があるなど手続が大変です。発起人が行政書士や司法書士に電子認証手続を依頼することが多いようです。

(紙の定款の手続)(通常の公証役場の場合)
 公証役場に、連絡を入れたうえ、事前チェックのための定款案を送付(FAX又はメール)します。公証人が定款案を事前にチェックし、公証役場からチェックの結果を連絡します。それで問題がなければ、定款3通を作成していただきます。定款3通を必要とするのは、公証人が認証した上、1通は公証人が定款原本として公証役場で保管し、1通は法人保管用原本として、残りの1通は設立登記の申請の際に認証を得た謄本として必要となるからです。定款の作成にあたっては、発起人(又は社員・設立者)全員に、定款の各ページの間に実印で契印(割印)をしていただくか袋とじにして綴じ目に実印で契印(割印)をしていただく必要があります。定款の末尾の欄外に、発起人(又は社員・設立者)全員の実印による捨印があれば、公証役場に来て軽微な誤りが判明しても捨印による訂正で対処でき、再度公証役場に出直す必要はありません。
※電子定款の作成には、電子証明書を取得していること、PDF作成ソフトのアドビ・アクロバット(有料)とカードリーダーライターがあること、法務省のオンラインシステムにログインするためのユーザー登録・IDの取得等一定の手間と費用がかかります。紙(書面)による定款の認証の場合には、そのような手間がかからずどなたでもできます。

(電子定款の手続)(通常の公証役場の場合)
 登記・供託オンライン申請システムを利用したオンラインの申請をする前に、定款案を公証役場までメール又はファックスでお送りください(オンライン申請した後は定款内容の変更ができません)。メールの場合、定款案は、後で修正しやすいように、PDF形式ではなくWORD形式又は一太郎形式でお送りいただきます。公証人が定款案を事前にチェックし、公証役場よりチェックの結果及びチェックをした公証人名を連絡します。電子定款の場合には、紙(書面)による定款と異なり、オンライン申請後は定款内容を修正・変更はできませんので、改めてオンライン申請をやり直していただくことになります。その際、ワード等で作成した定款をPDF変換ソフトAdobe Acrobatを使ってPDFファイルに変換します。登記・供託オンライン申請システムで提供されているPDF署名プラグインソフトを使用して、PDFファイルに法務省指定の認定機関の発行する電子証明書の付いた電子署名をして保存します。法務省の登記・供託オンライン申請システムにオンライン申請するためには、法務省指定の認定機関から電子証明書を取得する必要があります。行政書士や司法書士に定款作成を依頼する場合は、定款作成委任状が必要になります。公証役場に認証に来られるのが、作成依頼した行政書士や司法書士でない場合、その行政書士や司法書士から認証委任状が必要にあります。印紙代4万円はそれなりに大きい金額で、行政書士や司法書士に依頼してもその方が安く済むことから、こちらで認証手続をする方が多いようです。
 ただし、一般社団法人や一般財団法人ではもともと印紙代4万円がかかりませんので、費用節約に関する電子定款でのメリットはありません。

 

A.定款には、絶対に記載しなければならない事項(絶対的記載事項)、制度として設ける場合に定めないと効力を生じない事項(相対的記載事項)及び記載するかどうか自由な事項(任意的記載事項)があります。
  定款の絶対的記載事項が、①商号、②目的、③本店所在地、④最低資本金、⑤発起人の住所、氏名・名の5つです。
  相対的記載事項としては、①株式の譲渡制限に関する規定(小規模会社では、定款で株主の譲渡制限を設ける会社が大多数です。)、 ②株主総会、取締役以外の機関の設置の有無(例えば、「取締役会」「監査役」など)、③取締役、監査役などの任期(会社法では、取締役の任期は2年・監査役の任期は4年と定められています(定款でそれより短い規定を定めることは可)が、株式譲渡制限会社については、定款で定めれば、それぞれ任期を10年まで延ばすことが可能となります。)などがあります。(「取締役との信頼関係を重視する会社」か、「一定の緊張関係を重視する会社」かによって取締役に任期が決まるようです。)
  任意的記載事項としては、①株主総会の議長(株主総会で議長を務める人は開催ごとに決めますが、あらかじめ一定の役職(社長など)の人が議長となる旨を定めておけば議長の選任を毎回行う手続が省けます。)、②公告の方法(公告の方法については、㋐官報に掲載する方法、㋑時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法、㋒電子公告があります。)(「広告」と誤記する例がありますので、ご注意ください。「公告」です。)、③取締役・監査役の員数(取締役や監査役の員数を記述することができます。取締役会設置会社の取締役は3名以上、監査役1名以上が必要です。)、④事業年度(個人事業主の事業年度は、1/1~12/31ですが、法人では1年以内で任意に1事業年度を定めることができます。)、⑤設立時に発行する株式の数発行可能株式総数とは、会社が将来に渡って発行することのできる株式数です。このうちの一部または全部が設立時に発行されます。設立時に発行する株式数が設立時発行株式数となります。この発行可能株式総数は、設立時発行株式数以上である必要があります。)などがあります。

 

A.下記のとおりです。

株式会社○○○○定款

第1章 総則
(商号)
第1条 当会社は、株式会社○○○○と称する。
注 ローマ字、アラビア数字その他の符号で法務大臣の指定するものは使用できます(商登規51)。
「&(アンパスサント)」「’(アポストロフィー)」「,(コンマ)」「-(ハイフォン)」「.(ピリオド)」「・(中点)」の6つの符号はOK(平14.7.14法務省告示315)。(6種の符号は字句を区切る際の符号として使用する場合に限り使用可。ピリオドは省略を表すものとして商号末尾に使用が可能であるが、それ以外の符号は商号の先頭又は末尾に使用できない。スペースも可(平14.7.31法務省民商1839号民事局長通達)。
(目的)
第2条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
(1)○○業
(2)○○業
(3)○○業
(4)前各号に付帯又は関連する一切の事業
注1 事業目的については、具体的に記載する必要はなく、単に「建設業」、「不動産業」のような記載でも差し支えない。また、「インターネットによる広告業」というような限定する項目を付す必要もなく、単に「広告業」のように記載しても差し支えない。法令を引用する場合には、法令名を正確に引用すること。
注2 特定の業界だけに通用する用語は、明確性を欠くものとして使用できない。一般向けの国語辞典や現代用語辞典等に登載されている用語を用いて記載すること。(登記研究平成21年3月号157p)
注3 「OA機器」、「H型鋼材」、「LPガス」、「LAN工事」、「NPO活動」のように社会的に広く認知されている英単語は使用可。(平成14.10.7民商2364回答)。
注4 株式会社が発起人になる場合、目的の範囲内に留意。会社が新しい会社の発起人になる場合、新会社の目的は、既存会社の目的の範囲内でなければならないとの考えは維持されており、既存会社の目的を判断するため、当該会社の登記事項証明書を提出させる扱いは従来どおり。なお、発起人会社の目的と新設会社の目的の全てが一致してなくても一部一致で足りる。
(本店の所在地)
第3条 当会社は、本店を千葉県○○市に置く。
注1 最小行政区画までの記載で可。何番地何号まで記載してもよいが、引越しや住居表示が変更になった場合、定款変更をしなければならない。
注2 本店が千葉県であれば、千葉県内の公証役場でのみ定款認証が可能である。
(機関の構成)
第4条 当会社は、株主総会及び取締役のほか、その他会社法第326条第2項に定める機関を設置しない。
注 上記は記載しなくとも可。
(公告の方法)
第5条 当会社の公告方法は、官報に掲載する方法により行う。
注 「広告」ではなく「公告」であるので注意する。「当会社の公告方法は、○○新聞に掲載する方法により行う。」、あるいは「当会社の公告方法は、電子公告により行う。ただし、電子公告によることができない事故その他やむを得ない事由が生じたときは、○○新聞(又は官報)に掲載して行う。」でも可。

第2章 株式
(発行可能株式総数)
第6条 当会社の発行可能株式総数は、500株とする。
注 発行可能総数としては、設立時発行株式数(後記第34条参照)の5~10倍としておくことが多い。
(株券の不発行)
第7条 当会社の株式については、株券を発行しない。
(株式の譲渡制限)
第8条 当会社の株式を譲渡により取得するには、代表取締役の承認を受けなければならない。ただし、株主間の譲渡は、承認があったものとみなす。
注 「株主総会の承認」、「取締役の承認」又は「当会社の承認」でも可。
2 前項の承認を行わない場合、代表取締役は指定買取人を指定することができる。
3 相続その他一般承継により当会社の株式を取得した者に対し、当該株式を当会社に売り渡すことを請求することができる。
(株主割当て)
第9条 当会社の株式(自己株式の処分による株式を含む。)及び新株予約権を引き受ける者の募集において、株主に株式及び新株予約権の割当てを受ける権利を与える場合には、その募集事項、株主に当該株式及び新株予約権の割当てを受ける権利を与える旨及び引受の申込みの期日の決定は、取締役の決定によって定める。
(株主名簿記載事項の記載の請求)
第10条 当会社の株式取得者が株主名簿記載事項を株主名簿に記載することを請求するには、当会社所定の書式による請求書に、その取得した株式の株主として株主名簿に記載された者又はその相続人その他の一般承継人及び株式取得者が署名又は記名押印し、共同して請求しなければならない。ただし、法令に別段(会社法施行規則第22条第1項各号)の定めがある場合には、株式取得者が単独で請求することができる。
(質権の登録及び信託財産の表示)
第11条 当会社の株式につき、質権の登録及び信託財産の表示を請求するには、当会社所定の書式による請求書に当事者が署名又は記名押印し、提出しなければならない。その登録又は表示の抹消についても同様とする。
(手数料)
第12条 前二条に定める請求をする場合には、当会社所定の手数料を支払わなければならない。
(株主の住所等の届出等)
第13条 当会社の株主、登録株式質権者又はその法定代理人若しくは法人の代表者は、当会社所定の書式により、その氏名又は名称及び住所並びに印鑑を当会社に届け出なければならない。届出事項に変更が生じたときも、同様とする。当会社に提出する書類には、届け出た印鑑を用いなければならない。
(基準日)
第14条 当会社は、毎事業年度末日の最終の株主名簿に記載された議決権を有する株主をもって、その事業年度に関する定時株主総会において権利を行使することができる株主とする。
2 前項のほか、株主又は登録株式質権者として権利を行使することができる者を確定するため必要があるときは、取締役の過半数の決定により臨時に基準日を定めることができる。

第3章 株主総会
(株主総会の決議事項)
第15条 株主総会は、会社法に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議することができる。
(株主総会の決議の方法)
第16条 株主総会の決議は定款に別段の定めがある場合を除き議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。
2 会社法第309条第2項に定める決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う。
注 出席要件は「3分の1」でも可。(1項、2項とも)
(株主総会の議決権の代理行使)
第17条 株主又はその法定代理人は、当会社の議決権を有する株主1名又は親族を代理人として、議決権を行使することができる。ただし、この場合には、株主総会ごとに代理権を証する書面を提出しなければならない。
2 前項の代理人は当会社の議決権を有する株主に限るものとし、かつ2人以上の代理人を選任することはできない。
(株主総会の招集)
第18条 定時株主総会は、毎事業年度終了後の翌日から3か月以内に招集し、臨時株主総会は必要に応じて随時招集する。
(株主総会の招集権者及び議長)
第19条 当会社の株主総会は、法令に別段の定めがある場合を除き、代表取締役社長が招集する。ただし、代表取締役社長に事故があるときは、あらかじめ取締役の過半数をもって定めた順序により、他の取締役が招集する。
2 株主総会においては、代表取締役社長が議長となる。ただし、代表取締役社長に事故があるときは、あらかじめ取締役の過半数をもって定めた順序により、他の取締役が議長となる。取締役全員に事故があるときは、株主総会において出席株主のうちから議長を選出する。
(株主総会の招集通知)
第20条 株主総会を招集するには、会社法第298条第1項第3号又は第4号に掲げる事項を定めた場合を除き、株主総会の日の1週間前までに、議決権を行使することができる株主に対して招集通知を発するものとする。
2 前項の招集通知は、会社法第298条第1項第3号又は第4号に掲げる事項を定めた場合を除き、書面ですることを要しない。
注 招集通知は、1週間を下回ることができ、「株主総会の日の3日前」あるいは「株主総会の日の5日前」の例が多い。 
(株主総会の招集手続の省略)
第21条 株主総会は、その総会において、議決権を行使することができる株主全員の同意があるときは、会社法第298条第1項第3号又は第4号に掲げる事項を定めた場合を除き、招集手続を経ずに招集することができる。
(株主総会の決議の省略)
第22条 株主総会の決議の目的たる事項について、取締役又は株主から提案があった場合において、その事項につき議決権を行使することができるすべての株主が、書面又は電磁的記録によりその提案に同意したときは、その提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。
2 前項の場合には、株主総会の決議があったものとみなされた日から、10年間、同項の書面又は電磁的記録を当該会社の本店に備え置くものとする。
(株主総会の報告)
第23条 取締役が株主の全員に対して株主総会に報告すべき事項を通知した場合において、当該事項を株主総会に報告することを要しないことにつき株主の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該事項の株主総会への報告があったものとみなす。
(株主総会の議事録)
第24条 株主総会の議事については、会社法施行規則第72条の定めるところにより、議事の経過の要領及びその結果を記載又は記録した議事録を作成し、議長及び出席取締役が記名押印又は署名して10年間本店に備え置くものとする。

第4章 取締役
(取締役の員数)
第25条 当会社の取締役は、1名以上とする。
注 「○名以内」、「○名以上○名以下」でも可。ただし、1名以上としておけば無難。
(取締役の選任・解任の方法)
第26条 当会社の取締役の選任及び解任は、株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。
2 取締役の選任については、累積投票によらない。
注 「3分の1」に変えて「過半数」でも可。取締役を1名のみとした場合、「累積投票」の記載は不要。
(取締役の資格)
第27条 当会社の取締役は、当会社の株主の中から選任する。ただし、必要があるときは、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数をもって、株主以外の者から選任することを妨げない。
(取締役の任期)
第28条 取締役の任期は、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。
2 任期満了前に退任した取締役の補欠として、又は増員により選任された取締役の任期は、前任者又は他の在任取締役の任期の残存期間と同一とする。
注 原則、2年から10年の範囲で決めること。ただし、1年でも可。
(代表取締役及び社長)
第29条 当会社に取締役2人以上いるときは代表取締役1人を置き、取締役の互選により定めるものとする。
2 代表取締役は社長とし、取締役1人のときは、当該取締役を社長とする。
3 社長は、当会社を代表し、会社の業務を統轄する。
注 「取締役の互選」にかえて「株主総会の決議」でも可。
(役付取締役) 
第30条 取締役の過半数の同意をもって、取締役の中から、専務取締役及び常務取締役を選ぶことができる。
2 社長は会社の業務を統括し、専務取締役及び常務取締役は社長を補佐し、定められた事務を分掌処理し、日常業務の執行に当たる。
(報酬規定)
第31条 取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として当会社から受ける財産上の利益は、株主総会の決議によって定める。

第5章 計算
(剰余金の配当及び除斥期間)
第32条 剰余金の配当は、毎事業年度末日現在における最終の株主名簿に記載(又は記録)された株主又は登録株式質権者に対して行う。
2 剰余金の配当は、支払い開始の日から満3年を経過しても受領されない場合は、当会社はその支払義務を免れるものとする。未払いの剰余金の配当には、利息を付けないものとする。
注 第1項について「株主名簿に記載された株主及び登録株式質権者」としないこと。
(事業年度)
第33条 当会社の事業年度は、毎年○月1日から翌年○月末日(又は、1月1日から12月末日)までとする。
注 1年サイクルで自由に定めること可。「毎年1月1日から12月31日」とするか、「毎年○月1日から翌年○月末日」(翌年を入れること)のいずれか。

第6章 附則
(設立に際して出資される財産の価額、発行する株式の総数及びその発行価格)
第34条 当会社の設立に際して出資される財産の価額、発行する株式の総数及びその発行価格は次のとおりである。
出資される財産の価額 金500万円
発行する株式の総数    100株
発行価格(1株につき) 金5万円
注 出資される財産の価額=発行する株式の総数×発行価格(1株につき)となる。発行価格は、自由に定めることができる。
(資本金)
第35条 当会社の設立時資本金は、金500万円とする。
注 出資される財産の価額全額を記載するのが一般的。半額=資本金とすること可(会社法445条)。
(設立時の役員)
第36条 当会社の設立時取締役及び設立時代表取締役は次のとおりとする。
 設立時取締役 甲野太郎
 設立時取締役 乙野次郎
設立時代表取締役 甲野太郎
注 成立後に取締役と代表取締役になる者を記載。代表取締役甲野太郎は取締役甲野太郎と双方ともにも記載すること。
(最初の事業年度)
第37条 当会社の最初の事業年度は、会社成立の日から平成○年○月末日までとする。
注 第33条(事業年度)に合わせること。例えば、事業年度を「毎年4月1日から翌年3月末日」としている会社が、平成27年5月1日に会社を設立する場合は、最初の事業年度は、「平成28年3月末日」。平成28年3月1日に会社を設立する場合は、最初の事業年度は、「平成28年3月末日」。
(発起人の氏名及び住所、発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数及び設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額)
第38条 当会社の発起人の氏名又は名称及び住所、発起人が割当てを受ける設立時発行株式の数及び設立時発行株式と引換に払い込む金銭の額は次のとおりである。
 住所 ○○○○
 甲野太郎
 割当てを受ける株式の数 30株
 払い込む金銭の額    300万円
住所 ○○○○
 乙野次郎
 割当てを受ける株式の数 20株
 払い込む金銭の額    200万円
注 発起人の住所は、印鑑証明書の記載のとおりとすること。
(定款に定めのない事項)
第39条 本定款に定めのない事項は、全て会社法その他の法令の定めるところによる。
(一般的な定款認証の場合)
 ○○株式会社設立のため、この定款を作成し発起人が次に記名押印をする。
平成○年○月○日
           発起人 甲野太郎  
           発起人 乙野次郎  
注 日付欄を空欄にしないこと。定款認証日よりも前の日付にしておくこと。
(作成代理・電子定款の場合)
 ○○株式会社設立のため、発起人の定款作成代理人行政書士○は、電磁的記録である本定款を作成し、これに電子署名する。 
  平成○年○月○日   定款作成代理人 ○○○○ 電子署名
注 この年月日(定款作成日)より前に会社のための銀行口座開設をしていると登記申請の際、チェックを受けるので注意。銀行口座開設は、定款認証後に行うのが原則。

A.下記のとおりです。

一般社団法人○○会定款

第1章 総則
(名称)
第1条 当法人は、一般社団法人○○会と称する。
注 名称に「一般社団法人」という文字を用いなければならない(法5Ⅰ)。名称使用制限の規定に反する文字を用いてはならない(医療法3Ⅰ、銀行法6Ⅱほか)。
(目的)
第2条 当法人は、○○をすることを目的(又は会員相互の支援、交流、連絡、福祉、親睦その他会員に共通する利益の向上を図ることを目的)とする。
2 当法人は、前項の目的を達成するため、次の事業を行う。
(1)○○事業
(2)会員間の連絡、交流のための会報、名簿等の発行の事業
(3)関係諸団体との協力関係を増進するための事業
(4)前各号の事業のほか、当法人の目的を達成するために適当と認められる事業
注 一般社団法人の設立目的とその目的を達成するための事業を記載するのが一般的と思われるが、設立目的と事業を別条として記載することも、また事業目的のみ記載しても差し支えない。
(主たる事務所の所在地)
第3条 当法人は、主たる事務所を千葉市に置く。
注 最小行政区画のみの記載でよい。
(機関の構成)
第4条 当法人は、当法人の機関として社員総会及び理事のほか、理事会及び監事を置く。
注1 一般社団法人には、機関として必ず社員総会、理事を置かなければならない。(法60Ⅰ)
注2 理事会、監事、会計監査人を置くにはその旨定款に定める。(法60Ⅱ)
注3 理事会を置く場合には、理事を3人以上置き、監事を1人以上置かなければならない。(法61、法65Ⅲ)
注4 会計監査人設置法人も監事を置かなければならない(法61)。
(公告の方法)
第5条 当法人の公告方法は、官報に掲載して行う。
注 ①官報、②時事に関する事項を掲載する日刊新聞、③電子公告、④当該一般社団法人の主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法でもよい。(法331、法施規88)

第2章 社員
(入社)
第6条 当法人の目的に賛同し、入社した者を社員とする。
2 社員となるには当法人入会申込書により申込みをし、会長の承認を得るものとする。
(経費等の負担)
第7条 社員は、当法人の目的を達成するため、「一般社団及び一般財団法人に関する法律」(以下「一般法人法」という。)第27条に定める経費を支払う義務を負う。
2 社員は、社員総会において別に定める入会金及び会費を納入しなければならない。
注1 社員に経費の支払い義務を課す場合は、定款にその旨定めなければならない。(法27)
注2 税法上の非営利法人になるためには、定款に会費の具体的な金額を定めるか、又は当該金銭の額を社員総会の決議により定める旨の定めが必要である。(法人税法施行令3Ⅱ②)
(社員の資格喪失)
第8条 社員が次の各号の一に該当する場合には、その資格を喪失する。
(1)退社したとき
(2)死亡したとき、又は解散したとき
(3)○年以上会費を滞納したとき
(4)除名されたとき
(退社)
第9条 社員はいつでも退社することができる。ただし、1か月以上前に当法人に対して、申し出するものとする。
(除名)
第10条 社員の除名は、正当な事由があるときに限り社員総会の決議によってすることができる。この場合は、一般法人法第30条及び第49条第2項第1号の定めるところによるものとする。
(社員名簿)
第11条 当法人は、社員の氏名又は名称及び住所を記載した社員名簿を作成し、当法人の主たる事務所に備え置くものとする。
2 当法人の社員に対する通知又は催告は、社員名簿に記載した住所又は社員が当法人に通知した居所に宛てて行うものとする。

第3章 社員総会
(社員総会の招集)
第12条 当法人の定時社員総会は、毎事業年度末日の翌日から2か月以内に招集し、臨時社員総会は必要に応じて随時招集する。
2 定時社員総会は、法令に別段の定めがある場合を除き、理事会の決議により会長がこれを招集する。ただし、会長に事故又は支障があるときは、あらかじめ定めた順序により、副会長がこれを招集する。
3 社員総会を招集するには、会日より1週間前までに、各社員に対して書面で招集通知を発するものとする。
注 理事会設置法人においては、社員総会の招集は1週間前までに書面でしなければならない(法39Ⅱ②)。
(議長)
第13条 社員総会の議長は、会長がこれに当たる。ただし、会長に事故又は支障があるときは、当該社員総会において議長を選出するものとする。
(決議の方法) 
第14条 社員総会の決議は、総社員の議決権の過半数を有する社員が出席し、社員総会に出席した社員の議決権の過半数をもって行う。
2 各社員は、各1個の議決権を有する。
注 定款に定めれば、法49条2項に定める場合を除き、定足数の排除、決議要件を変更できる(法49Ⅰ)。「出席した社員の議決権の過半数をもって行う。」という例が多い。社員の議決権は、複数の議決権を有するとしても差し支えない(法48Ⅰ)。
(議決権の代理行使)
第15条 社員は、当法人の社員を代理人として、議決権を行使することができる。ただし、この場合には、総会ごとに代理権を証する書面を提出しなければならない。
(社員総会の議事録)
第16条 社員総会の議事については、法令に定める事項を記載した議事録を作成し、議長及び出席理事が記名押印又は署名して10年間主たる事務所に備え置くものとする。

第4章 理事、監事、代表理事
(役員の選任)
第17条 当法人に次の役員を置く。
  理事 3名以上○名以下
  監事 ○名以内
  代表理事 ○名
2 代表理事のうち、会長1名、副会長1名を置く。
3 理事のうちから、専務理事、常務理事若干名を置く。
注1 理事会設置一般社団法人は、理事3人以上でなければならない。(法65Ⅲ)
注2 監事の員数には制限がなく、業務監査権があり、株式会社のような会計監査権限のみに限るとする規定を設けることはできない。(法99Ⅰ、124Ⅰ)
(理事の資格)
第18条 当法人の理事は、当法人の社員の中から選任する。ただし、必要があるときは、議決権を行使することができる社員の議決権の過半数をもって、社員以外の者から選任することを妨げない。
(理事及び監事の選任の方法)
第19条 当法人の理事及び監事の選任は、総社員の議決権の過半数を有する社員が出席し、社員総会に出席した社員の議決権の過半数をもって行う。
2 理事のうち、理事のいずれか1名とその配偶者又は3親等以内の親族その他特別の関係にある者の合計数は、理事総数の3分の1を超えてはならない。監事も同様である。
注1 理事、監事及び会計監査人の選任ついて、社員総会の決議で選任する(法63Ⅰ)。定款で別段の定めをすることは可能である(法49Ⅰ)。
注2 第2項は、一般社団法人、一般財団法人には、不要である。イ型の非営利型法人及びロ型の非営利型法人については、この定めが必要である。 
(理事及び監事の任期)
第20条 理事の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までとする。
2 監事の任期は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までとする。
3 任期満了前に退任した理事又は監事の補欠として、又は増員により選任された者の任期は、前任者の任期の残存期間と同一とする。ただし、増員により選任された監事の任期については、その残存期間が2年に満たないときは、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時総会終結のときまでとする。
4 役員は、辞任又は任期満了後において、定員を欠くに至った場合には、新たに選任された者が就任するまでは、その職務を行う権利義務を有する。
注1 理事の任期は、「選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までとする。」と規定されているが、定款又は社員総会の決議によって短縮することはできる。(法66、67)従って、理事については、補欠又は増員の理事の任期は、定款で前任者の任期の残存期間と定めることができる。
注2 監事の任期は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までとする。ただし、「定款によって、その任期を選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までとする」ことを限度として短縮することを妨げない。(法67Ⅰ)従って、監事の任期については、最低でも2年間を要することになる。ところが、補欠の場合には、前任者の任期の残存期間とすることができる(67Ⅱ)とされているので、結局2年間を要するのは、増員監事の場合のみである。
注3 定款又は社員総会の決議によって、その任期を伸長することはできない。   
注4 監事の増員の場合は、最低でも2年は必要。
(代表理事、役付理事及びその職務・権限)
第21条 当法人は、理事会の決議により、理事の中から代表理事○名を選定する。
2 代表理事のうち、会長1名、副会長○名を、理事会の決議により選定する。
3 当法人は、会長、副会長のほか、専務理事○人及び常任理事○人を置き、理事会において理事の過半数をもって選定する。
4 会長は、当法人を代表し、副会長は会長を補佐する。会長に事故あるときはその職務を代行し、会長が欠けたときはその職務を行う。ただし、残存期間が1年以上あるときは、速やかに新たな会長を選定するものとする。
5 常任理事は、当法人の業務を分担執行する。
注 選任の方法、登記は、株式会社の代表取締役とほぼ同様である(法77、90Ⅱ③、Ⅲ)。
(監事の職務・権限)
第22条 監事は、理事の職務の執行を監査し、法令で定めるところにより、監査報告を作成する。
 2 監事は、いつでも、理事及び使用人に対して事業の報告を求め、当法人の業務及び財産の状況の調査をすることができる。
(解任)
第23条 理事及び監事は、社員総会の決議のよって解任する。ただし、監事を解任する場合は、総社員の半数以上であって、総社員の議決権の3分の2以上の多数によって行わなければならない。
(報酬等)
第24条 役員の報酬等は、社員総会の決議をもって定める。
(取引の制限)
第25条 理事が次に掲げる取引をしようとする場合は、理事会においてその取引について重要な事実を開示し、社員総会の承認を得なければならない。
(1)自己又は第三者のためにする当法人の事業の部類に属する取引
(2)自己又は第三者のためにする当法人との取引
(3)当法人がその理事の債務を保証することその他理事以外の者との間における当法人とその理事との利益が相反する取引
(責任の一部免除)
第26条 当法人は、役員の一般法人法第111条第1項の賠償責任について、法令に定める要件に該当する場合には、理事会の決議によって、賠償責任額から法令に定める最低責任限度額を控除して得た額を限度として、免除することができる。

第5章 理事会
(理事会の招集)
第27条 理事会は、会長が招集する。会長に事故もしくは支障があるときは、会長があらかじめ理事会の決議を経て定めた順序により、他の理事が招集する。
2 理事会の招集通知は、各理事及び各監事に対して、会日の1週間前までに発する。ただし、緊急を要する場合は更に短縮することができる。
注 「理事会の日の1週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各理事及び各監事に対してその通知を発しなければならない。」と規定されている。(法94Ⅰ)
(招集手続の省略)
第28条 理事会は、理事及び監事の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。
(議長)
第29条 理事会の議長は、会長がこれに当たる。ただし、会長に事故もしくは支障があるときは、あらかじめ理事会の決議を経て定めた順序により、他の理事が当たる。
(理事会の決議)
第30条 理事会の決議は、議決に加わることができる理事の過半数が出席し、その過半数をもって行う。
注 理事会の決議については、定足数及び決議要件を加重することはできるが、軽減することはできない。特別の利害関係を有する理事は、議決に加わることができない(法95Ⅰ)。
(理事会の決議の省略)
第31条 理事が理事会の決議の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき理事(当該事項について議決に加わることができるものに限る。)の全員が書面により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の理事会の決議があったものとみなす。ただし、監査役が異議を述べたときは、この限りではない。
注 理事会の決議の省略は、定款に定めればできる。(法96)
(職務の執行状況の報告)
第32条 代表理事及び常務理事は、毎事業年度に4か月を超える間隔で2回以上、自己の職務の執行状況を理事会へ報告するものとする。
注 1事業年度2回程度しか理事会を開催できない法人の場合は、定款に、代表理事、業務執行理事は、「毎事業年度に4か月を超える間隔で2回以上職務執行の状況を報告しなければならない。」と定めることで足りる(法91Ⅱ但)。
(理事会議事録)
第33条 理事会の議事については、法令に定める事項を記載した議事録を作成し、出席した代表理事(代表理事に事故もしくは支障があるときは出席理事)及び監事がこれに署名若しくは記名押印し、10年間主たる事務所に備え置くものとする。
注 理事会議事録には、出席した理事及び監事の署名又は記名押印を要するが、定款に記名押印又は署名は代表理事と定めれば、出席した代表理事及び監事の署名又は記名押印だけでよい(法95Ⅲ)。
(理事会規則)
第34条 理事会に関する事項は、法令又はこの定款に定めるもののほか、理事会において定める理事会規則による。

第6章 基 金
(基金の拠出)
第35条 当法人は、社員又は第三者に対し、一般法人法第131条に規定する基金の拠出を求めることができるものとする。
(基金の募集)
第36条 基金の募集、割当て及び払込み等の手続については、理事会が決定するものとする。
(基金の拠出者の権利)
第37条 拠出された基金は、基金拠出者と合意した期日までは返還しない。
(基金の返還の手続)    
第38条 基金の拠出者に対する返還は、返還する基金の総額について定時社員総会における決議を経た後、理事会(又は清算人)が決定したところに従って行う。

第7章 計算
(事業年度)
第39条 当法人の事業年度は、毎年○月1日から翌年○月末日までとする。
注1 絶対的記載事項。1年サイクルで自由に定めること可。「毎年1月1日から12月31日」とするか、「毎年○月1日から翌年○月末日」(翌年を入れること)のいずれか。
(事業計画及び収支予算)
第40条 当法人の事業計画及び収支予算については、毎事業年度開始日の前日までに会長が作成し、理事会の承認を経て社員総会の承認を受けなければならない。これを変更する場合も同様とする。
(事業報告及び決算)
第41条 当法人は、各事業年度に係る計算書類(貸借対照表、損益計算書)及び事業報告並びにこれらの附属明細書を作成する。
2 代表理事は、前項記載の計算書類等につき、監事の監査を受け、理事会の承認を受け、定時社員総会に計算書類及び事業報告を提出して承認を受けた上、法令の定めるところにより、貸借対照表を公告する。
3 当法人は、計算書類等(各事業年度における計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書、監査報告)を定時社員総会の日の2週間前の日から5年間、その主たる事務所に備え置く。また、計算書類を作成した日から10年間、計算書類及びその附属明細書を保存するものとする。
4 総社員の議決権の10分の1以上の議決権を有する社員は、会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写を請求できる。社員及び債権者は、計算書類等(貸借対照表、損益計算書及び事業報告並びにこれらの附属明細書)の閲覧、謄抄本の交付を請求できる。
(剰余金の不配当)
第42条 当法人は、剰余金の配当はしないものとする。
注 一般社団法人、一般財団法人には、不要である。イ型の非営利型法人にするためには、この定めが必要である。ロ型の非営利型法人については、この定めはなくても良い。
(残余財産の分配)
第43条 当法人は、解散したとき、その残余財産を次のいずれかの者に帰属させる。
ⅰ 国又は地方公共団体
ⅱ 公益社団法人又は公益財団法人
注 一般社団法人、一般財団法人には、不要である。イ型の非営利型法人にするためには、この定めが必要である。ロ型の非営利型法人については、この定めはなくても良い。

第8章 定款の変更等
(定款変更)
第44条 この定款は、社員総会において、総社員の半数以上であって、総社員の議決権の3分の2以上の議決権をもって変更することができる。
(解散)
第45条 当法人は、次の事由が生じたとき、解散する。
ⅰ 社員総会の決議
ⅱ 社員が欠けたとき

第9条 附則
(設立時社員の氏名及び住所)
第46条 当法人の設立時社員の氏名及び住所は、次のとおりである。
住所 ○市○町○番地 氏名○○○○
住所 ○市○町○番地 氏名○○○○
注 2名以上が必要(法10「共同して」)。
(設立時役員)
第47条 当法人の設立時理事、設立時監事及び設立時代表理事は次のとおりとする。
設立時理事 氏名○○○○、氏名○○○○、氏名○○○○
設立時監事 氏名○○○○
設立時代表理事(会長) 氏名○○○○
設立時代表理事(副会長)氏名○○○○
(最初の事業年度)
第48条 当法人の最初の事業年度は、法人成立の日から平成○年○月末日までとする。
注 第29条(事業年度)に合わせること。例えば、事業年度を「毎年4月1日から翌年3月末日」としている法人が、平成28年5月1日に法人を設立する場合は、最初の事業年度は、「平成29年3月末日」。平成29年3月1日に法人を設立する場合は、最初の事業年度は、「平成29年3月末日」。
(定款に定めのない事項)
第49条 本定款に定めのない事項は、全て一般社団法人法その他の法令の定めるところによる。

一般社団法人○○会設立のため、この定款を作成し設立時社員が次に記名押印をする。
  平成○年○月○日
   設立時社員 ○○○○  
   設立時社員 ○○○○  

 

 

A.株式会社の「目的」は、適法性、営利性と明確性が問題になります。会社は、目的の範囲内で権利能力を有しますので、軽視することはできません。
  適法性の要件
  例えば「銀行業」とか「保険業」を記載することはできません。は、特別な資格を有しないと営業することができないので、許されません。ただし、「人材バンク」、「保険案内」など、本来の銀行業や保険業と異なることが明らかな記載は許容しているようです。法令を引用して目的を記載する場合、法令名を正確に引用する必要があります(例えば、「身障者福祉法」と略するのはダメで、「身体障害者福祉法(以下「身障者福祉法」という。)と正式法令名を表記しなければなりません(2回目以降の使用は、上記のようにかっこ書で定義すれば略号で使用できます。2度目の使用がない場合は、かっこ書での定義の必要はありません。)。
  営利性の要件
  法務局が営利性の要件について厳格な審査をすることはありません。ただし、「ボランティア事業」とすると、無償で営利目的がないように認識されますので、避けた方が無難です。「サービス業」は、無償とは限らないことが社会の中で定着していますので使用しても大丈夫です。
  明確性の要件
  会社の目的は、第三者が理解できる程度の記載が必要になります。特定の人間にしか判明しないような暗号的な記載は禁止されます。流行語については、「現代用語の基礎知識」などに搭載されている用語であれば、使用することができます。OA機器、LAN工事、NPO法人など外国語を使用した場合もそれが通用していれば当然許容されます。コンサルティングをコンサルと略することも通用しつつありますが、登記官によっては許容しないこともありますので、短縮用語は通用性が明らかな場合以外は使用しないことが無難です。
  なお、目的に記載には、事業を数項目に例示した上、最後に「前各号に附帯又は関連する一切の事業」とすることが肝要です。これがないと、目的から少しでも離れた事業ができなくなってしまう可能性があります。

  ちなみに、将来、会社が発起人になって、別会社を設立する可能性がある場合は、別会社の目的と関連性のある目的を掲げておくことが無難です。例えば、建設業関係の会社が親会社になって、学校給食の供給を目的とする会社を設立することはできません。ですので、将来、学校給食を目的とする会社の発起人になる可能性がある場合は、食品供給業など関連のある目的を掲げておくことが無難です。

【文例】
第〇条 当会社は、次の事業を行うことを目的とする。
 ⑴ 〇〇の製造及び販売
 ⑵ ××の輸入及び販売
 ⑶ △△に関するコンサルティング業務
 ⑷ (省略)
 ⑸ 前各号に附帯又は関連する一切の事業

 

A.発起人全員(一般社団法人・一般財団法人等の場合は社員・設立者全員)が公証役場に来られる場合
(個人の印鑑登録証明書、法人の印鑑証明書、法人登記簿謄本、登記事項証明書等は、いずれも発行後3か月以内のものであることが必要です。)
【発起人(一般社団法人は社員、一般財団法人等の場合は設立者)が個人の場合】
・発起人全員の印鑑登録証明書及び実印
 or運転免許証、パスポート等の顔写真入りの公的機関発行の身分証明書のいずれか1つ及び認印
【発起人(一般社団法人・一般財団法人等の場合は社員・設立者)が法人の場合】
・法人登記簿謄本or現在事項全部証明書or履歴事項全部証明書のいずれか1つ
・法人代表者の印鑑証明書
・法人代表者の代表者印
【個人、法人共通】
・定款3通(通常は3通ですが、それ以上必要な場合はご連絡ください。)
(社員資格に制限のある税理士法人・司法書士法人・行政書士法人・土地家屋調査士法人・社会保険労務士法人・弁護士法人等の定款については、各社員についてそれぞれ資格証明書の提示が必要となります。)

  発起人全員(又は社員・設立者)が公証役場に来られない場合で、代理人が公証役場に来られる場合
(個人の印鑑登録証明書、法人の印鑑証明書、法人登記簿謄本、登記事項証明書等はいずれも発行後3か月以内のものであることが必要です。)
【公証役場に来られない発起人(又は社員・設立者)が個人の場合】
 本人の印鑑登録証明書
【公証役場に来られない発起人(又は社員・設立者)が法人の場合】
・法人登記簿謄本or現在事項全部証明書or履歴事項全部証明書のいずれか1つ
・法人代表者の印鑑証明書
【個人、法人共通】
・公証役場に来られない発起人(又は社員・設立者)全員からの委任状
・代理人の身元確認資料
・印鑑登録証明書と実印or運転免許証・パスポート等の顔写真入りの公的機関発行の身分証明書 と認印
・定款3通(通常は3通ですが、それ以上必要な場合はご連絡ください。)
(社員資格に制限のある税理士法人・司法書士法人・行政書士法人・土地家屋調査士法人・社会保険労務士法人・弁護士法人等の定款については、各社員についてそれぞれ資格証明書の提示が必要となります。)

  定款認証嘱託の委任状の書式例

    委任状
  私は、〇〇〇〇を代理人と定め、下記権限を委任する。
    記
  株式会社〇〇の定款について、各発起人の記名押印ををそれぞれ自認し、公証人の認証を嘱託する手続に関する一切の件
    平成〇〇年〇月〇日
      住所 〇〇県〇〇市〇〇〇〇
      発起人  〇〇〇〇 ㊞(実印) 

1.管轄の公証人役場を調べます。
  定款の認証は、あなたの会社の本店所在地を管轄する法務局に所属する公証役場で行います。例えば、本店所在地が東京都内であれば東京都内の公証役場が管轄公証役場です。東京にある公証役場であればどこの公証役場でも定款認証ができます。本店所在地が埼玉県所沢市であれば、さいたま市内の公証役場でもOKです。発起人が千葉県に居住していても、会社の本店所在地が東京都内であれば、東京都内の公証役場が管轄になります。

2.公証人に事前に定款をチェックしてもらいます。
  定款の認証を受けるために、認証にいく予定の公証人役場に事前に電話をかけて、FAXやメールなどで、認証を受けようとしている定款に問題がないかチェックしてもらい、認証希望日と公証人のスケジュールの調整をしてください。
  住所の番地や号の部分はよく指摘されるポイントです。「渋谷1-1-1」のように省略せずに、住民票や印鑑証明書の記載のとおり「渋谷一丁目1番1号」のように正確に書くようにしましょう。
2-2.平成30年11月30日から定款認証の方式が変わります。会社の実質的支配者が暴力団関係者又は国際テロリストに該当するか否かを確認することになりました。反社会的集団による法人の不正利用を防止するためです。
・株式(出資金)の過半数を有する者を実質的支配者といいます。過半数を有しない者でも25%を超えて有する者、会社事業に影響力を有する者、代表者である場合は実質的支配者になります。
・実質的支配者には、暴力団関係者又は国際テロリストではないことを認証前に公証人にメール、FAXなどで申告していただきます。
・これらは、定款チェックを公証人にしてもらう時に同時にお願いすることになります。
・紙定款、電子定款、いずれも場合でもこれらの手続を行うことになります。


3.認証日に公証役場へ持って行くもの
①定款3通(定款は3通とも発起人全員の署名押印、割印が必要です。)
②発起人(出資者)全員の印鑑証明書1通ずつ
③収入印紙:4万円(電子定款の場合は不要)
④公証人へ払う手数料:5万円(現金)
⑤定款の謄本(写し)交付手数料:約2000円(250円×ページ数)
⑥委任状(代理人が定款認証を行う場合)
(注意点)
①定款3通
 定款は3通とも発起人全員の署名押印、割印が必要です。その際、押印は必ず個人の印鑑で行いましょう。持っていく定款3通は、それぞれ公証役場保存用、会社保存用、登記用(法務局提出用)となります。
②発起人全員の印鑑証明書
 印鑑証明書は役所で印鑑登録を行ってから取得することができるようになります。定款認証の後、設立登記の申請の時も使いますので2通取得しておきましょう。
③収入印紙
 定款の認証をしてもらった後、公証役場保存用の定款に収入印紙(4万円)を貼って消印をしてもらうことになります(電子定款の場合は不要)。紙定款の場合、収入印紙は郵便局で買っておきましょう。
④現金5万2000円~5万3000円程度(定款の枚数と通数(通常3通だが嘱託人の希望により2通、4通の場合もある。)によって若干異なります。)
 定款の認証の費用は当日、現金で支払をします。公証人へ払う手数料5万円と、定款の謄本作成料として2000円から3000円を準備しておきましょう。
⑤委任状
 公証役場での定款認証は発起人(出資者)全員で行くのが原則です。しかし、会社を始めたばかりの忙しい時期に全員で行くというのは現実的ではないかもしれません。その場合は、公証役場に行けない発起人の委任状が必要となります。
 また、特に電子定款の場合に当てはまることが多いのですが、定款作成を代理人(行政書士や司法書士など)に依頼すると、その代理人が定款作成人になります。その場合、仮に、発起人が公証役場に認証を受けに来ても、その発起人は定款作成人の「代理人」になりますので、定款認証代理人になり、委任状が必要になります。委任状は、定款作成人の電子署名がある電子委任状を直接公証役場に電子メールなどで送信する方法もあります。

4.認証を受けたのち、法務局提出用謄本を法務局に持参します。