外国文認証等

A.認証とは、文書の成立を公の機関が証明することをいいます。
  文書が作成者によって、正当に作成されたものであることは、その文書の証明力の前提になるものです。仮に、作成権限がない人が勝手に文書を作成した場合、その文書は偽造文書になります。しかし、第三者にとって、その文書が偽造文書なのか、真正に作成された文書なのかは、容易には分かりません。そこで、法務大臣から任命された特別な公務員である公証人が、その文書の作成の真正を証明するのが認証です。文書について公証人の認証を受けることによって、その文書が国内的にも国際的にも通用力を高めることになります。注意していただきたのは、公証人が与える認証は、作成の真正(確かにその人が作成したこと)であって、内容の真正(書かれていることが真実であること)までも認証しているわけではないことです。もっとも、明らかに内容が不正不当であって、公序良俗に反する文書は認証することができません。
  認証の対象は、私署証書になります。すなわち、① 私文書であること、② 署名(記名)又は押印があることが前提です。署名(記名)又は押印がない文書は、文書自体からは誰が作成した文書であるか分かりませんから認証することができません。また、公文書は、公の機関が正当に作成したことが明らかですので、これに直接認証することはできません(公文書に認証することはできないのですが、これを一旦私文書の形式にして認証を与える方法があります。Q3をご覧ください。)。

A.外国文認証とは、① 外国語で作成された私署証書又は② 日本語で作成されていても外国で使用される私署証書を認証することをいいます。
  外国文認証も、基本的には、日本文の私署証書の認証と同様ですが、① 外国文で記載された文書であったり、② 法制度の異なる外国で使用される文書であることから、日本国内で使用される日本文の文章とはことなる難しさがあります。そのため、手数料が1通につき認証文5500円(※)に加え外国文加算として6000円(合計1万1500円)が必要になります。
※原則は5500円ですが、証書を作成した場合の経済的利益が1000万円を超える場合は、手数料が1万1000円になります。
  外国文認証の例としては、① 18歳未満の未成年者のカナダへの修学旅行・留学に関する両親の渡航同意書、② 私立大学の卒業証明書・学位記・成績証明書、③ 婚姻による改姓による同一人物であることの証明文書、④ 各種の委任状、宣言書、証明書などが挙げられます。パスポートの認証については、Q3をご覧ください。

 ・宣言書の文例1
  添付に係る書面(平成〇〇年〇月〇日付け実験報告書)は、当時、〇〇株式会社電子材料開発センターである私が作成した書類であることに間違いありません。
  2017年〇月〇日
       氏名 〇〇〇〇㊞

 ・宣言書の文例2
  添付に係る平成〇〇年度高等学校第3学年期末考査〇〇〇の成績証明書は、〇〇学院〇〇高等学校長が作成したものであり、添付の英文は、これを正確に英訳したものです。以上のことは間違いないことを宣言します。
  2016年〇月〇日
       氏名 〇〇〇〇㊞(外国人で押印の習慣がない場合、押印をしないこともあります。)

 

 

A.外国の官庁や会社等に提出するため、パスポート、会社の登記事項証明書、戸籍事項証明書、国公立学校の卒業証明書等の認証を求められる場合があります。
  公文書を公証人が直接認証することはできません。すなわち、公文書は、公的機関自体が、その権限と責任において、その成立の真正を証明すべきものであり、せいぜいその公文書を発行した公的機関が外務省(領事局領事サービスセンター証明班)から公印証明(アポスティーユ:駐日領事による認証に代わり外務省が実施する公印であることの証明)を受ければよいはずである。
  しかしながら、パスポートなど公文書に対する「公証人の認証」のニーズが少なからず存在することも確かです(特に、仕向国が日本語を解しない場合には、訳文を付さないと受け入れられません。実際問題として、公文書発出官署が謄本証明を出さないこともあります。)。そのため、嘱託の趣旨をかなえる公証実務上の運用としては、下記2つの方法があります。
※パスポートについては、不正な使用を防止する意味で、他の公文書よりも慎重な取り扱いをしています。後述します。
 ・方法その1
  公文書を英語など外国文に翻訳し、「添付の公文書のコピーの記載内容を誠実に翻訳した」旨の宣言書(Declaration)を作成し、訳文を公文書のコピーを添付した宣言書を作成し、その宣言書を公証人が認証する方法。
 ・方法その2
  証明者にふさわしい役職のある人物が、「添付の公文書のコピーは原本の真正なコピーであり、その内容どおりの事実が存する」旨の宣言書ないし証明書(Certificate)を作成し、これに認証を与えることである。
※中国等では登記事項証明書等の原本のホチキスを外した形跡があると、受付を拒否される場合があるので、コピーする際にはホチキスを外さないようにしてください。
 ・宣言書の文例1
  添付の「登録事項等証明書 現在記録」及び「登録事項等証明書 保存記録」は、正規の機関である〇〇運輸支局長が発行した文書です。それぞれの後ろに英訳した文書は、これを誠実に英訳したものです。以上、間違いありません。
  2016年〇月〇日
      氏名 〇〇〇〇㊞
 ・宣言書の文例2
  別紙「戸籍全部事項証明書」に係る英文書面は、私が戸籍全部事項を正しく英訳したものであり、別紙「住民票」に係る英文書面は、私が私の家族に係る住民票を正しく英訳したものであり、別紙「受理証明書」に係る英文文書は、婚姻受理証明を正しく英訳したものです。以上、間違いありません。
  平成29年〇月〇日
      氏名 〇〇〇〇㊞
 ・パスポートの文例
  別紙添付の書面は、真正かつ正確な私のパスポートの写しであることを宣言します。以上間違いありません。
  2017年〇月〇日
      氏名 〇〇〇〇㊞
事案の性質に鑑み、必ずパスポート原本の確認をする。また、必要に応じて、運転免許証の提示を求める。

 

A.① 国公立学校と② 私立学校、独立行政法人たる国立大学とその付属校では、取扱いが異なる。①は公文書であり、これに直接認証することはできません。②は、独立行政法人である国立大学等を含め作成者は公務員とはいえず私署証書であるから、認証することができます。

  ②の宣言書の文例
  私こと〇〇〇〇は、別添卒業証明書(学位記・成績証明書等)が2015年3月〇日、〇〇大学学長から私に発行された卒業証明書の真正な原本(又は原本の写し)であることに間違いないありません。以上宣言します。
  2017年〇月〇日
      氏名 〇〇〇〇 ㊞
  ①の場合
  国公立学校の卒業証明書等の原本について外務省の公印証明(アポスティーユ)を付するのが原則です。しかし、「公証人による認証」を求める需要も一定数存在します。その場合は、この卒業証明書等の写しを添付し、これを嘱託人に説明する形で私文書化して認証するほかありません。「原本」を付することはできません(原本は、外務省の公印証明をするしかありません。)。
  ①の宣言書の文例
  私こと〇〇〇〇は、別添卒業証明書(学位記・成績証明書等)が2015年3月〇日、〇〇大学学長から私に発行された卒業証明書を正確に写したものであることに間違いないありません。以上宣言します。
  平成29年〇月〇日
      氏名 〇〇〇〇 ㊞

 

 

A.外国における許認可の前提として、公的証明のある犯歴調査に必要な指紋の採取を求められる場合があります。嘱託人が外国の官庁から犯罪所轄庁の作成した指紋台紙の交付を受けている場合と、特に書式等が指定されていない場合があります。
  公証人は、嘱託人から指紋採取及びそれに関連する証明の依頼を受け、公証人から警察の所轄部署に指紋採取の手続を依頼した上で、公証人が嘱託人と共に警察を訪れ、警察の係官が嘱託人の持参した指紋台紙(又は警察に備え付けてある指紋台紙)を使用して指紋採取を行い、公証人はその指紋採取の場に同席してその状況を確認するとともに、その結果を事実実験公正証書にとりまとめ、完成させた指紋台紙を公正証書の別紙として添付し、嘱託人に交付します。

 ・指紋採取確認公正証書の例
 1 嘱託人
  ⑴ 氏名(男性)〇〇〇〇
  ⑵ 生年月日  平成〇年〇月〇日
  ⑶ 住所  〇〇県〇〇市〇〇〇丁目〇‐○
  ⑷ 職業  会社員
  ⑸ 本人確認旅券番号 〇〇〇〇〇〇
 2 別添指紋票に押捺の指紋は、平成27年〇月〇日、〇〇市〇〇区〇〇〇丁目〇番〇号の〇〇県警察本部別館において、同本部職員が採取した嘱託人の指紋であり、本公証人は、これを目撃確認し、同指紋票の指紋採取欄に採取者に代わって署名した。
 3 本公証人は、前同日、〇〇市○○区〇〇〇丁目〇番〇号所在の〇〇公証役場において、本公正証書を法定の方式により作成し、嘱託人はこれに署名押印した。
       嘱託人   〇〇〇〇 ㊞
       〇〇地方法務局所属公証人
             〇〇〇〇 ㊞  

A.アポスティーユとは、外国に提出する公文書の作成名義につき、それが真正である旨を当該国(日本)の権限ある当局(外務省領事局領事サービスセンター証明班)が証明し、発行する証明書のことです。
  私署調書を公証人が認証した場合、その公証人が「地方法務局所属の公証人であり、真正に成立した認証であること」は、その地方法務局(又は法務局)の長が証明します。その「地方法務局(法務局)の長であること、その証明が真正であること」を外務省領事局領事サービスセンター証明班から公印証明をもらいます。
  本来であれば、これを提出先国の領事館に持参して、上記外務省のアポスティーユが真正のものであることの認証をもらうことになります。しかし、ハーグ条約の締結国(大多数の国がハーグ条約締結国です。)相互間では、最後の領事認証を省略することができます。
※ 本来、嘱託人⇒公証人⇒法務局⇒外務省⇒(外国領事)⇒仕向国に提出

A.東京公証人会、横浜公証人会及び大阪公証人会では、暫定的に、ハーグ条約の締結国及び非締結国について認証手続をさらに簡便にする措置を講ずることができます。
  東京都内、神奈川県内及び大阪府内の公証役場では、認証文の該当箇所に、公証人において署名・押印した後、東京法務局長、横浜地方法務局長又は大阪法務局長は、当該公証人の所属、署名・押印について真実のものであることに相違ない旨の証明を付しておきます。さらに外務省において、東京法務局長等の記名押印に相違ない旨の証明を付しておきます。そして、公証人において、嘱託があった際には、この書面を利用して認証するわけです。これによれば、嘱託人は、上記3都府県の公証役場に認証に赴けば、法務局や外務省に赴く必要はなく、ハーグ締結国の場合は、ワンストップで認証作業が終了することになります。 
  上記3都府県以外の道府県の公証役場では、地方法務局長(法務局長)による当該公証人の所属、署名・押印について真実のものであることに相違ない旨の証明を付することはできます。しかし、外務省のアポスティーユを省略することができませんので、東京都、神奈川県及び大阪府近傍に居住の嘱託人は、東京都、神奈川県又は大阪府の公証役場に赴くと手続を簡素化することができます。
  なお、外国文認証に係る文書でアポスティーユ不要の文書もありますので、当該文書の認証を受ける趣旨を仕向国からよく聞き取る必要があります。
  

A.認証を受けたい文書のほかに、本人確認書類が必要になります。本人確認書類とは、パスポート、自動車運転免許証、個人番号カード(マイナンバーカード)、住基カードなど顔写真が付していある公的証明書です。これらがない場合は、印鑑登録証明書(発効後3か月以内)と実印が必要になります。
  なお、公証人は、公序良俗に反する文書を認証することはできません。外国文であっても同様です。そのため、その外国文が公序良俗に反するものではないこと、すなわち不当不正な目的で使用するものではないことを公証人に説明していただく必要があります。また、不当不正な目的に使用しないことを裏付ける資料を提示していただくことがあり、これを拒否した場合には、公証人の認証ができないことがあります。。

A.外国文認証の場合の多くは、一通について1万1500円になります。
  内訳は、算定不能の場合の基本手数料1万1000円の半額である5500円に外国文加算6000円を加算した1万1500円です。ただし、証書にした場合の経済的利益が1000万円を超える場合は、1万1000円に外国文加算6000円を加えた1万7000円になります。
  仕向国(外国)において、認証に係る文書が返還される場合には、認証文は1通でいいと思いますが、返還されない場合は、提出先の通数が必要になりますので、仕向国の意向を十分に聴取してください。