離婚給付契約

A.夫婦が離婚をする方法としては、①協議離婚、②調停離婚、③裁判離婚の3つがあります。離婚条件について当事者の話合いがつかない場合は、②の調停離婚や③の裁判離婚を選択することになります。
  離婚給付契約は 協議離婚をする際、夫婦間で離婚条件を取り決めておく契約です。

  協議離婚は、役場に届けること(戸籍法による届出)によって効力を生じます。離婚の際、お子様の親権者をどちらにするか、お子様の養育費をどうするか、面会交流の取決め、財産分与・慰謝料の取決めなど離婚条件が協議されることが多いと思います。当事者間の合意が得られた場合、必ずその合意内容を書面化して互いの署名押印をしておいてください(離婚協議書)。さらに安心なのは、これを公文書」にしておくことです。それが、「離婚給付契約の公正証書」と呼ばれるものです。

  公正証書は、公文書ですから、あのとき「言った。」「言わない。」の 争いを予防する機能 があります。さらに、強制執行認諾文言(※)を入れておけば、裁判手続を経ないで相手方の給与債権や預金債権を差し押さえることができます。支払義務を負担する側も、「差し押さえられないために、約束した支払を守っていこう」と考えます。通常の書面(私文書)に比べて高い実効性があるといえます。

  約束した条件をきちんと守ってほしいと考えるのであれば、離婚給付契約を公正証書で作成することを強くお勧めします。

※強制執行認諾文言とは、「甲は、本公正証書に基づく金銭債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服する旨陳述した。」など、債務者が養育費など金銭債権について債権者の財産を強制執行されても異議がない旨の文言です。これを公正証書の中に入れることによって、裁判手続を経ないで強制執行することができます。

A.通常は、① 離婚の合意・確認と子供の親権者の指定② 子どもの養育費の定め③ 面会交流の定め④ 財産分与の定め⑤ 慰謝料の定め⑥ 年金分割の定め⑦ 住所変更等の通知義務⑧ 清算条項(円満解決の確認、プライバシーの尊重)、⑨ 強制執行認諾から成り立っています。ただし、当事者の意向により、上記のうちの一部だけを公正証書に盛り込むこともありますし、他の内容を盛り込んでほしいと希望されることもあります。

  子どものために、養育費だけを盛り込みたいと考えている方も少なくありません。その場合の公正証書記載例は、次のとおりです。このような定型的な公正証書ですと、比較的短期間のうちに公正証書は完成します。必要書類は、戸籍謄本と双方の運転免許証認め印手数料(養育費条項だけの手数料は、10年分の養育費額によって変わります。10年分の養育費総額が500万円から1000万円の間である場合は2万円前後、200万円から500万円の間である場合は1万5000円前後が目安になります。年金分割の条項があると手数料が1万1000円増額します。また、財産分与・慰謝料の条項でも手数料が増額します。)です。

 

【離婚給付契約公正証書の例
                        (主に養育費だけの場合)

 本公証人は、当事者の嘱託により、離婚給付契約に係る陳述の趣旨を筆記し、この公正証書を作成する。
第1条(離婚届出)
 夫・〇〇〇〇(以下「甲」という。)と妻・〇〇〇〇(以下「乙」という。)は、双方間の長女・〇〇(平成〇〇年〇月〇日生。以下「丙」という。)の親権者を母である乙と定め、各自、離婚届に署名した上、乙において速やかに届け出る(以下「本件離婚」という。)。
第2条(養育費)
 甲は乙に対し、丙の養育費として平成29年〇〇月から丙が満20歳に達する日の属する月まで、毎月末日限り金〇万円ずつを乙の指定する口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は、甲の負担とする。
2 甲及び乙は、第1項に定めるほか、丙に関し、乙に対し、中学校、高等学校、大学等の進学時、重大な病気又は事故時など特別な費用を要する場合は、互いに誠実に協議するものとする。
第3条(面会交流)
  乙は、甲に対し、丙と面会交流することを認める。具体的な面会交流の日時、場所、方法は、丙の福祉を考慮して、甲と乙が事前に協議して定める。甲が面会交流を希望する場合は、事前に乙に申し入れるものとする。
第4条(財産分与)
  財産分与について、各自名義の預貯金通帳に係る金融資産は、それぞれ各自が取得すること、互いに金銭その他の授受は行わないこととすることに合意する。
第5条(慰謝料)
 甲及び乙は、相互に、本件離婚に伴う慰謝料を請求しないものとする。
第6条(連絡先の通知)
  甲が勤務先、住所又は電話番号を変更したとき、乙が連絡先又は第2条1項に定める振込口座を変更したときは、甲又は乙は、速やかにその旨を相手方に通知する。
第7条(清算条項)
 甲及び乙は、本件離婚に際し、本公正証書の作成をもって全て円満に解決したことを相互に確認し、本公正証書に定めた事項以外に、名義のいかんを問わず、金銭その他の請求をしない。また、相互にプライバシーを尊重し、相手方の迷惑になる行為をしない。
第8条(強制執行)
  甲は、本公正証書に基づく金銭債務を履行しないときは、直ちに強制執行に服する旨陳述した。

 

A.夫婦に未成年者の子があるときは、離婚に際しその親のどちらかが親権者になります。「子を引き取って育てる親」に対し、「もう一方の親」が子の養育のための費用を支払う約束をするのが養育費支払約束です(通常は月額で決めます。)。

  親は、子に対する扶養義務を負っていますし、子は、親に対して扶養請求権を有しています。この権利は放棄することができません。親同士で養育費を支払わない旨の約束をしたとしても、その約束は法的な効力を生じません。裁判所は、この約束を無効と解釈して認めませんので、養育費(扶養請求権)として請求されてしまいます。

  公正証書には、養育費支払の始期と終期を書くことになります(「毎月月末限り」などと支払日も書きます。)。
  始期は公正証書作成の月又は翌月とすることが大多数です。
  終期は①18歳とする場合、②20歳とする場合、③22歳になった最初の3月とする場合が多いようです。当事者の希望で「大学卒業の月まで」と書くこともありますが、裁判所から「終期が不明確(浪人や留年があり得るので、大学卒業の月が確定できていない。)で強制執行ができない」と判断されることがあります(当事者がその旨の定めをしたい場合、とりあえず大学卒業予想月を記載し、それ以前に大学に行かなくなったことが確定した後、支払を免除する旨記載することが賢明だと思います。)

  養育費は、通常、月額いくらということで定まります。
  その金額は、双方の財産や収入状況など一切の事情を考慮して決まることが多いようです。
  基準となる考え方として、いわゆる養育費一覧表(養育費・婚姻費用算定表)が裁判所の実務として定着していますので、これを参考になさるのもいいと思います(詳しくは、「裁判所 養育費算定表」をご覧ください。)。

  養育費の定めの中で、子どもの進学、病気や怪我などで多額の費用が必要になる場合の協議条項を定めることもできます。この場合、公正証書に、「子が進学や重大な病気や怪我で特別の費用が必要な場合は、双方がその費用の負担について誠実に協議して定める。」などと記載することになります。

【養育費支払約束で注意すべきこと】
1 養育費を支払わない、もらわないとか、面会交流を求めないなどの約束は無効です。
2 養育費の月額支払金額は確定したものをお勧めします。不確定ですと強制執行ができません。
3 きょうだいがいる場合、合計〇万円などの定めは避けるのが無難です。各自〇万円ずつと決めることをお勧めします。

A.できます。一般論としては、入れることが望ましいといえます。
  離婚し、親権者が母親になった場合、親権者ではない父親が未成年の子どもと面会することを面会交流といいます(以前は「面接交渉」といいました。)。この権利は、放棄することができない権利です。「面会交流しない」などと約束してもその約束は無効です。「養育費を支払わない場合には面会交流をさせない」という約束も、「面会交流させなければ、養育費を支払わない」という約束も無効です。ただし、面会交流実施により子の福祉に反する結果になることが強く予想される場合は面会交流を一時停止することができると考えられています。母子の心情の安定のために、一定期間面会交流を行わないことが子の福祉のために有効とされる場合もありますが、濫用は戒めなければなりません。
  条項例としては、「乙(母)は、甲(父)に対し、丙(子)と面会交流することを認める。具体的な面会交流の日時、場所、方法は、甲と乙が協議して定める。」などと記載します。統計的には、1か月に1回程度の面会交流の実施をしていることが多いようです。
  面会交流は、子の福祉のために重要な条項です。間接強制(※)という手段もありますが、法的な強制にはなじまないので、双方が協力し合って面会交流の実施を円滑に進めることがとても大切になります。
※間接強制……約束を守らない場合に制裁金を課して、約束を守らせる強制執行のこと。「約束を守らなければ、1日当たり5000円を支払う」などの形で裁判所が違約金を定めることができます。

 

A.婚姻中に夫婦の努力によって形成された財産を離婚に当たって清算することです(清算的財産分与)。
 ① 婚姻中にマイホームを夫名義で建てたが、離婚するに至った場合、妻側の潜在的な持分(例えば50%)を分与(財産分け)することで、これを清算的財産分与と呼ばれます。「建物の共有持分を分ける」こともありますし、「共有持分相当額の金銭を支払う」ことによって分与することもあります。妻子の無償での居住権を認める場合もあると考えられます(不動産の所有名義は夫に残したまま、未成年の子が成人に達するまで妻子の無償での居住は認める。)。
 ②住宅ローンが残っている場合には、ローンの実質的な負担者を変更することが問題になることがあります。金融機関にローンを支払う債務者が夫であった場合、債務者を妻に変更するよう申請しても、その申請が通らないことも多いので、夫側の債務者である地位を変更しないまま、実質的に妻が住宅ローンを支払い(代位弁済といいます。)、妻と子がその住宅に居住し続けるという約定を結ぶこともあります。
 ③夫と妻の共有名義で不動産を取得し、妻側がその不動産に居住を続けるなどの場合で、夫の持分を自分側に移すケースもあります(下記に例示)。
  財産分与には、扶養的な要素もあるといわれています。離婚した妻に生活能力がない場合には、月々の生活費の援助分を支払う約定を取り決めることがありますが、これは扶養的財産分与といわれるものです。また、財産分与に慰謝料的な要素を盛り込むことができるという考え方もあります。この場合には、名目は財産分与でも、実質は慰謝料の支払になります(慰謝料的財産分与)。

  財産分与の条項は、様々なケースがあります。ここでは、甲の不動産持分を分与する例を挙げます。
第〇条(財産分与)
1 甲は、乙に対し、本件離婚に伴う財産分与として、第2項記載の不動産持分を分与する。
2 甲は、乙に対し、本件離婚を原因とする下記不動産⑴及び⑵の持分全部移転登記手続をする。移転登記費用は甲の負担とする。
3 乙は、甲に対し、上記の代償金として金500万円を支払うこととし、同金員を平成〇〇年〇月〇日限り、甲の指定する口座に支払う。振込手数料は乙の負担とする。
【不動産の表示】
⑴土地
所在 千葉市〇〇区〇〇町
地番 〇〇番〇
地目 宅地
地積 120.00㎡
(甲の持分2分の1)
⑵建物
 所在 千葉市〇〇区〇〇町〇〇番地〇
 家屋番号 〇〇番〇
 種類   居宅
 構造   木造瓦ぶき2階建
 床面積 1階 50.00㎡
     2階 30.00㎡
(甲の持分2分の1)
  

A.離婚慰謝料は、離婚について責任のある側が他方に支払う損害賠償です。夫婦には、婚姻関係維持義務があります。他方が不貞行為を行ったり、相手方に暴力を加えるなどの違法行為(民事的な意味での違法行為)をして、これが原因で婚姻関係を維持できない状態に至った場合は、不法行為に基づく損害賠償として慰謝料請求権が発生します。夫と妻の双方に責任があるときは、離婚について主として責任のある方が、損害賠償の責任を負うことになると考えられます。ただし、一方が口を利かなくなり、それがきっかけで婚姻関係が維持できなくなった場合には、違法性があるとはいえないので不法行為は成立しません。
  慰謝料の額は、精神的苦痛に対する損害賠償ですから、ほとんどあらゆる事情が考慮されるといってよく、いわゆる相場を見いだすことは難しいともいわれています。調停などで、合意に至った例をみても、慰謝料10万円といったものから1000万円というものまであって千差万別です。訴訟でも、50万円から500万円になったものがあり、認容額200万円を中心にさまざまな例が見受けられます。
  離婚慰謝料は、①慰謝料金額支払義務の確認、②支払方法、③給付条項を決めます。①は慰謝料額、②は一括払か分割払か、振込先はどこかなど、③は「支払う」という給付文言が大切になります。「支払うこととする」とか「支払うことを約束する」との記載だと給付条項ではなく単なる確認条項とみなされて強制執行ができなくなってしまうことがありますので、必ず「支払う」と記載されているのを確認してください。


A.年金分割制度は、婚する夫婦の年金受給の格差を是正するため、厚生年金の報酬比例部分(老齢基礎年金に上乗せされる老齢厚生年金)の年金額の基礎となる「標準報酬」について、夫婦であった者の合意(合意ができないときは裁判)によって分割割合(請求すべき按分割合)を決め、夫婦であった者の一方の請求により、厚生労働大臣が標準報酬の決定を行う制度です。高齢者になったときに受給できる年金額を婚姻期間に応じて公平に分配する制度です。
 この制度の適用を受けるのは、平成19年4月1日以後に離婚した場合であり、婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録が分割されます。また、請求すべき分割割合は、法律で一定の範囲(上限は50%)に限られています。実務上はほとんどが50%で運用されています。
 また、平成20年4月1日から、いわゆる第3号被保険者期間についての厚生年金の分割制度が始まりました。これを3号分割制度といいます。この制度の適用を受けるのは、平成20年4月1日以後に離婚した場合であり、婚姻期間のうち、平成20年4月1日以後の第3号被保険者期間中の厚生年金の保険料納付記録が分割されます。分割の割合は、2分の1すなわち50%と一律に決められています。したがって、平成20年3月31日までの分については、合意分割制度によることになります。もっとも、平成20年4月1日以降の分も含めて婚姻期間全体について合意分割を行うこともできます。その場合、平成20年4月1日以降の分につき2分の1であるとみなして全体の分割割合を算定することになります。
 公正証書で年金分割の定めを記載する場合、夫婦それぞれの基礎年金番号が必要になります。年金手帳に記載がありますので、その情報を公証役場に提供してください。

【公正証書で年金分割条項を記載する場合】
第〇条(年金分割)
1 甲(第1号改定者)及び乙(第2号改定者)は、厚生労働大臣に対し、厚生年金分割の対象期間に係る被保険者期間の標準報酬の改定又は決定の請求をすること、及び請求すべき按分割合を0.5とする旨を合意する。
2 乙は、本件離婚届出後、2か月以内に厚生労働大臣に対し、上記合意内容を記載した公正証書の謄本を提出してその請求を行うものとする。
 甲(昭和〇〇年〇月〇日生)
基礎年金番号(〇〇〇〇-〇〇〇〇〇〇)
 乙(昭和〇〇年〇月〇日生)
基礎年金番号(〇〇〇〇-〇〇〇)

A.当事者間の養育費の支払や面会交流などをスムーズに行うためです。また、特別の事情が発生したとき、相手方に連絡する必要もあります。勤務先変更も通知義務に入れることがあるのは、万一、養育費の支払が滞った場合に、給与差押えなどの手続をスムーズに進められるからです。

A.夫婦間で、離婚給付契約の内容を確定させてから、公証役場にご相談願います。夫婦間で離婚給付の内容が確定しないままでは、公証人は、公正証書を作成することができません。公証役場が夫婦の間を取り持つことはできません。双方の話合いが難しい場合や長期に及ぶ場合は、家庭裁判所の調停手続をお願いします。
  必ず持参する書類・情報としては、戸籍謄本と本人確認書類(運転免許証など)、双方の職業情報(会社員、自営業、無職など)です。
  以下の点は、あらかじめ夫婦間で話し合って決めておいてください。できれば、メモなど書面にしておいてください。インターネットで検索すると、離婚給付契約書のモデル案がいくつかでています。これを利用なさるのもいいと思います。
1.未成年の子がいる場合、子の親権者、支払養育費額、毎月の支払期日、支払方法(銀行振込みにするか)、始期(公正証書作成月から支払うのか、翌月からか)、終期(例えば、18歳なのか、20歳なのか、22歳になった後の最初の3月なのか)
2.慰謝料がある場合は、金額、支払期日、支払方法
3.財産分与をする場合、不動産ならばどの物件(その物件の登記情報が必要です。)にするか、金銭ならば金額、支払期日、支払方法、その他の条件
4.面会交流に関する事柄(例えば、面会交流の回数を原則1か月に1回とするなど)
5.年金分割を請求する場合は按分割合(原則は0.5)、双方の基礎年金番号を調査してください。
6.公正証書の作成を離婚届提出前にするか、後にするか(通常、離婚届出前に作成なさる方が多いようです。)
7.本人確認書類は運転免許証でよいか、印鑑証明書にするか。
  子どもの権利に関し、①養育費の支払請求と②面会交流権を放棄することができません。双方が合意したとしても公正証書に記載することはできませんので、ご注意ください(仮に、子どもが会うことを嫌がっている場合でも放棄することはできません。子の福祉の観点から、一次的に面会交流を停止することができるだけです。)。

  夫婦間の取決めがあいまいであったり、複雑すぎる場合は注意が必要です。例えば、「子供が独立するまで養育費を支払う」と定めても、「独立」の意味が明らかでないとして強制執行ができなくなることがあります。「子供が高校に入ったら養育費を金○万円に増額して支払う」という定めの場合、高校入学の事実の立証は困難ではありませんが、強制執行の際に、入学証明書を相手方に送達することが必要になります(条件成就執行文)。
  将来の変化を全て織り込むことは不可能ですし、条項が複雑になると、強制執行に困難を来たします。事情が変更になった場合は、双方が誠実に反しあうという程度の条項にしておくのが現実的です。

A. 離婚給付契約は、当事者の身分関係に密接に関連するものですので、成立時には、できる限りご夫婦双方の出席をお願いしています。しかし、仕事をどうしても休めない場合、遠方に赴任していて公証役場までくることが困難な場合もあると思います。その場合、代理人によって作成することも可能です。代理人にる場合は、必ず、印鑑登録証明書(3か月以内い)を添えて、実印(登録印)を押した公正証書委任状を添えて、代理人が離婚給付契約公正証書を作成することができます。
  委任状の書式は、別に項目を立てています。代理人自身は、運転免許証による本人確認も可能です。

A. 相談のときに書類が整っており、かつ、合意事項が決まっている場合には、相談から1週間以内(定型的なものであれば翌日。公証人によっては当日、時間(2時間くらい)をいただいた上で作成することもあります。)に離婚給付契約公正証書を作成することができます。複雑な条項の場合は、もう少しお時間(1、2週間くらい)をいただきます。家庭裁判所での離婚調停(夫婦関係調停事件)は、費用は低廉です。ただし、申立てから成立まで、早くて3か月間、通常は半年前後かかります(双方に争いがあれば、もっと時間がかかります。合意に至らない場合は、離婚訴訟を提起しなければなりません。)。費用(通常3万円前後)はかかりますが、夫婦間で合意ができていれば公証役場での離婚給付公正証書の作成をお勧めします。
 

A. 強制執行の前に、相手方と連絡をとって養育費の支払を要請するのが一般的です。いきなり強制執行をすることもできますが、相手方が感情的になり、以後の交渉ごとが困難になることもあります。要請しても支払をしてもらえない場合は、強制執行を検討することになります。
  強制執行には、①強制執行認諾文言付の離婚給付公正証書正本、②送達証明書、③執行文が必要で、この3つを3点セットと呼んでいます。公正証書の正本は、公正証書作成時にお渡しします。正本は、強制執行をすることができる文書です。謄本では強制執行をすることができません。
  送達証明書は、公正証書作成時に相手方に交付送達の手続をしている場合があり、すでにお持ちの方もおられると思います。公正証書作成時に交付送達をしていない場合には、特別送達の方法で相手方に送達します。
  執行文とは、公正証書の正本で相手方に強制執行ができることを明確にする公文書です。すぐに強制執行ができる場合には、単純執行文をお渡しできます。執行するについて条件がついている場合は、その条件が成就(条件がそろうこと)したことを証明する書面を相手方に交付することになります。相手に交付されたことが確認できてから、公証役場において執行文を債務名義の正本に貼付させていただきます。
  強制執行の項目では、もう少し詳しい説明をしています。